大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)2296号 判決

原判決がその理由において、被告人の原判示所為に対し、刑法第百九十九条、第六十条を適用していること、及び被告人の原判示所為が殺人であるのに対し原判決が、その共同正犯として認定している原審相被告人小池広、同荒井九平の原判示所為が傷害致死であることは、いずれも所論指摘のとおりであるが、しかし、殺人と傷害致死とは、ただその結果に対する認識があつたかどうかの一点において相違があるだけであつてその外形的行為は全く同一のものであるから、数人共謀の上、人の身体に対し暴行を加えてこれを傷害した結果、相手方をして死亡するに至らしめた場合に、そのうちの一人のみが、行為の当時、死の結果に対する認識を有していたとすれば、その者のみは殺人の罪責を負うべきもその認識を有していなかつた他の者らは、傷害致死の罪責を負うに止まるべきことは、論を俟たないところであるが、右死の結果たるやひつきようその全員の共謀に基ずく暴行行為によつて惹起されたものに外ならないから、右共謀者全員に対し、刑法第六十条を適用しても、あえて違法ではないと解すべきところ、今本件についてみるに、原判決の認定したところは、被告人は原審相被告人小池広、同荒井九平の両名と共に、相手方たる原判示佐藤光久と斗争することにつき互に意を通じて共謀を遂げた上、被告人のみが未必の殺意に基ずき、共に右光久に対して原判示の暴行に及んだ結果同人に原判示の傷害を負わしめ、該傷害に基ずく失血により同人をして死亡するに至らしめたものであるというのであるから、原判決が、被告人の右所為に対しては刑法第百九十九条殺人罪の規定を、右原審相被告人両名の所為に対しては、同法第二百五条第一項傷害致死罪の規定を各適用しながら、右共謀者全員に対して同法第六十条共同正犯の規定を適用処断したからといつて、原判決に所論のような判決に影響を及ぼすべき擬律錯誤の違法があるものということはできない。

論旨は理由がない。

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